たかてつの成長日記

ごく普通の理系大学生がただひたすら自分の好きなことを書き留めるだけのブログです。教育系Youtuberを目指しています。大学では次世代バッテリーの1つであるカリウムイオン電池の研究開発をしています。

とある生徒の話

先日代講で教えた子がとても印象的だったという話。

その子は高3の女の子だったのですが、
本人の意思で "大学受験をやめることにした" ということを
塾長からあらかじめ聞かされていました。

理由は深く聞いていなかったので、
「授業何話すかな~。今さら英語の堅苦しい文法やってもしゃあないしな~。」とか、「大学受験をやめるほど大きな悩みがあるのかなー」だとか、授業の前日から悩んでいたのです…。


(授業当日)
自分の予想とは裏腹に、その子はなんとも明るい子でした。初対面とは思えないほどフレンドリーな普通の女子高生だったのです。

授業が始まる前、聞いたら気まずくなるかなとも思いましたが、ずっとモヤモヤしていたので出来る限りさりげなく聞いてみました。


自分「受験やめるんだって?」


女の子「はい!やめます!」


自分「なんでやめちゃうの?」


女の子「スペイン語を学びたくなったからです。」


自分「・・・。」


予想もしない返答だったので驚きました。自分はてっきり成績が伸び悩んでいるとか、あるいは経済的な事情だとか、なんかしらのネガティブな理由があるのだと思っていたからです。

さらにその子は、12月に留学にいくことを両親と話し合っていることや、仮にだめなら4月からスペイン語教室に通いたいこと、そして将来はスペイン語を使って仕事をしたいこと、それが無理でも本が大好きだから本屋で働きたいことなどいろいろ話してくれました。

こんなに自分の将来について考えている高校生もいるんだなーと感心させられたのと同時に、なんだか自分が情けなくなりました。「大学受験をやめる=ネガティブなこと」と勝手に決めつけている自分に気づいたからです。そして、18歳のこの子の方がよっぽど自分の人生について真剣に向き合っているじゃないかと思いました。


結局その日の授業80分のうち半分は人生の話、集団における個性の話、日本人と外国人の価値観の違いの話などなど、二人で語っていたと思います(笑)。塾的には勉強させなければいけないのですが、自分がこの子にとって今一番してあげるべきことは何かを考えた結果、40分の英語の文法よりもずっと大切なことがその会話の中にあると判断しました。とはいうものの一応英語の授業なので、残りの40分は前日から準備していた自分の大好きな本「星の王子さま」の一節を使った授業をしました(テーマは大人と子供の価値観についてです)。

そんなこんなで非常に濃い80分間の授業が終わり、その子が帰り際、「今まで英語は好きじゃなかったけど、今日の授業は楽しかった!」と言ってくれたので、さっきの40分は無駄じゃなかったんだなーとちょっぴり安堵しました。


この体験を通じて、本当の学びは時に思いもよらない所から得られるものなんだな~と再認識させられたのでした。
○○○さん、どうもありがとう。