微分方程式は未来を予想できる
先日微分方程式の動画を上げましたが、
多くの方が「そんなん何に使うの?」
と思っているのではないでしょうか。
そこで今回は、微分方程式が私達の生活にどのような形で活かされているかをお話しします!
"微分方程式で未来を予想できる"
例えば有名な微分方程式のひとつに
"シュレディンガー方程式"というものがあります。
なんとも中二病心をくすぐられる名前ですw
この微分方程式の解は電子の存在を確率分布として教えてくれます。私達が直接目でみることができない電子がどの位置にあるのか、その確率分布を計算だけで知ることができるのです。
他にもシュレディンガー方程式から派生したコーン-シャム方程式や、ハートリー=フォック方程式、神の数式とも呼ばれるディラック方程式などがあります。
流体の運動方程式として知られるナビエ-ストークス方程式も2階非線形偏微分方程式です。
これらの微分方程式を解くことによって得られる解が私達の生活に与える恩恵は計り知れません。微分方程式がなかったらここまで科学が発展することはなかったといっても過言ではでしょう。
宇宙工学、医学、電子工学、建築など様々な分野で実際に微分方程式が使われています。
また、微分方程式の凄さというのは、未来を予想できることにあります。
例えば、ニュートンの運動の法則によって物質の位置は一階線形常微分方程式という形で記述することができます。
そして、一階線形常微分方程式はいかなる初期値においても解くことができます。
ということは、すべての粒子の現在の位置、速度は原理的には計測可能であると言えます。
この考えの究極系がいわゆる「ラプラスの悪魔」と呼ばれるものです。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
もう少し簡単に言うと、
「運動方程式により現在の状態から未来の状態は完全に決まってしまう。さらに現在の状態は過去の状態から一意に定まるので、結局世界がどう動くかは全てはじめから決まっていることになる。よって、未来は全て予測可能である。」
ということです。
(実際には「現在の位置、速度が全て計測可能である」というのが量子力学的に正しくないので、この考えは否定されています)
今回は極端な例を挙げましたが、それほどに微分方程式は強力だということです。
微分方程式はただの記号の羅列ではありません。
テストのために覚えるべき式でもありません。
数式だけでこの世界の現象を表現することのできる人類史上最強の道具、それこそが微分方程式だとも言えるでしょう。
この話を聞いて少しでも興味が湧いた、ワクワクしたという変態な方は是非動画の方もご覧になって下さい!